佐藤江梨子 オフィシャルブログ SatoEri Times

  

『花の武将(ひと)前田慶次』

日程:9月3日(金)〜9月23日(木)

場所:大阪松竹座

肉団子

テーマ:ブログ

8年前、成人式に行きたかった。


でも私には、地元の友達がいなかった。


中学生の時、神戸、大阪、東京と三回転校をした。中3の夏休みあけに、東京の中学校に転校したけれど、中3の夏休みあけは、皆が皆、受験生!皆、受験競争で一生懸命で、中3の夏休みあけに引っ越ししてくるなんて・・・と不思議がられはするけれど、友達になろう!なんて人はなかなかいなかった。それは、それで覚悟してたし、一人でいることも嫌いじゃなかったし。いじめられることも、馬鹿にされること、嫌われることにも、中3の私は、とっくのとうに慣れっ子だった。


クラスに『肉団子』と呼ばれている男子がいた。


ぼんやり、その男子を見てみると、ガリガリなくらい細身の男子で、『なんで、肉団子ってあだ名なの?』とその男子に声をかけた。

それが『肉団子』と『私』の初めての会話だった。


男子は、この質問に応えなれてる感じで『俺、権田邦雄(ゴンダクニオ)って名前なんだけど、逆から読むと(オニクダンゴ)って言うんだ。だから皆に(肉団子)って呼ばれてる。』と言って笑ってみせた。


私は、笑わず『そのあだ名嫌じゃないの?』と聞いた。

男子は目を丸くして『嫌じゃないよ。自分の名前からとったしね、小学生の頃、自分の名前を後ろから読むのがクラスで流行ってさ、そんで自分がオニクダンゴって初めて気付いて、びっくりしたけど、まあ、面白いからいいかなって・・・。』

私は、ニクダンゴが凄く大人に見えた。私だったら絶対、親に逆ギレしてると思ったから。


『私も、呼んでいい?ニクダンゴって・・・』と私が勇気を出して言うと


ニクダンゴは『もちろん、そう呼んで!コリエウトサ!』と言ってくれた。


ニクダンゴも私もあまり友達がいなかった。ニクダンゴもいじめられていたのを知っていた。女子のいじめは陰険だが、男子のいじめは痛そうだった。


私もニクダンゴも我慢して我慢して学校へ行き卒業した。


二十歳になる年の秋、『私、成人式行かない!』親は悲しむだろうけど…私はそう決めていた。

そんな秋の日、

六本木で雑誌撮影していると、トラックの運転手が『佐藤エリコっ!』と叫んできた。私はその運転手に手を振ると、ニクダンゴだった。顔も体つきも全然変わってなくて、私は思わず『ニクダンゴっ!』と叫んでしまった。

ニクダンゴに『佐藤は、成人式行く?』と聞かれ私は『行かないっ!』と即答した。するとニクダンゴが『俺、いじめられて本当に嫌だったけど、見返してやりたいんだ、いじめてた奴ら。俺、今、一生懸命働いて自分に誇りみたいなのやっと出来てきたし!だから成人式行こうと思う!』とやたら真面目に言った。

私はなぜか泣きそうになりながら『じゃ、私も行く。私も働いて、皆よりも早く働いてたけどやっと自分に自信みたいなの出来たの。一緒に行こう、成人式!』

そして、二人して成人式に行くことにした。


すると、ニクダンゴは、『皆が二十歳になって、せっかく成人式だからって優しくしてくれて・・・ 』と言っていじめてた奴らと仲良く写真撮影をしていた。


私は急に色々嫌になって、走って逃げた。タクシーに飛び乗り、逃げた。


ニクダンゴ、ゴメンね。


私は、色々すぐに許せる人間ではなかったの。


今なら、


どうかな?


成人式のシーズンになると、私はいつもニクダンゴを思い出す。


ニクダンゴ

終わり

 

 

 
 
 
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